2026年2月14日(金)18:00よりカタルバオセロ(大牟田駅東口)にて UDCOMT.は、明治大学名誉教授の小林正美氏をお迎えし 『第3回TAKIBEE 姫路に学ぶ、歩きたくなる街の作り方 〜歴史と未来を繋ぐアーバンデザイン〜』を開催しました。事務局を含め、約20名が参加しました。

まずはセンター長よりご挨拶としてTAKIBEEのコンセプトである「焚き火のように想いをくべ語り合う場。参加者一人ひとりが蜂(BEE)となり、想いを運んで新しいまちの花(価値)を咲かせていく集い」を大切にし、大牟田をより良くしていこうという熱い想いが語られました。
また、今回の「くべり手」である小林正美先生は学生時代の恩師というご縁もあり、この貴重な機会への感謝とともに、大牟田への想いを会場へ投げかけ、スタートしました。
ご挨拶後は今回のくべり手である、小林正美氏に登壇していただきました。
劇的な変貌を遂げた姫路駅前の再開発をモデルに、私たちのまちの未来を照らすヒントが語られました。

■ 1. 「お城が見えない」駅前からの脱却
かつての姫路駅前は、バロック都市のように駅から城を見渡せるポテンシャルがありながら、実際にはバスやタクシーが入り乱れ、交通事故が多発する場所でした。お城を正面から見るには、危険な横断歩道の途中で立ち止まるしかない。そんな「車優先」の状況を打破し、「誰もが自由に歩き、くつろげる広場」を取り戻すことが、プロジェクトの原点ということでした。
■ 2. 「コンペ」ではなく「対話」を選んだ理由
計画を動かす際、小林氏らが最も重視したのは「関係者の意識改革」でした。一方的に案を決定する「コンペ」方式ではなく、地元のNPOが主体となり、市民ワークショップや学生シャレットワークショップを幾度も重ねる手法を選択されたとのこと。
対話を重ねる中では様々な意見が交差し、議論が停滞することもありました。そこで、「安全性と利便性を備えた新たな交通ジャンクションの創出」「歩行空間の連携による回遊性の向上」「歴史を考慮した姫路らしい景観構成」などを含む『10の提言』を策定。ルールを言語化することで、議論の指針を明確にされました。
話し合いはラウンドテーブル形式で行われ、市長や行政、駅周辺企業、商店街など、立場の異なるステークホルダーが同じテーブルにつきました。さらに、この議論のプロセスを市民にフルオープンにすることで、ブラックボックスになりがちな都市計画を徹底的に可視化しました。
ここで活きたのが「比較の魔法」です。膨大な意見を持つ市民にとって、一つのデザインの良し悪しを絶対的に判断するのは困難ですが、「A・B・C案の比較」であれば意見が出しやすくなります。選択のプロセスに市民自身が介在することで、「自分たちが選んだ街だ」という納得感が醸成され、それが街への責任と愛着を生むのだと説かれました。




■ 3. 中間組織が「実現」を加速させる
「行政と市民の直接連携は、実は非常に困難」だと小林氏は言います。そこで鍵となったのが、NPOなどの中間組織の介在です。専門的な知見を持ちつつ、市民の声を空間デザインに「翻訳」する存在がいることで、計画の実現可能性は飛躍的に高まりました。
完成した姫路駅前には、歩行者と車の空間が鮮やかに分離され、噴水やデッキで誰もが安心して過ごせる、日常の豊かさが生まれています。


■ 4. 私たちの町へ「想い」をくべる:貨物線跡地とアイデンティティ
後半は、この町が持つポテンシャルについての議論が熱を帯びました。大牟田のアイデンティティである「貨物線跡地」や「世界遺産」といった唯一無二の資産をどう活かすか。
小林氏からは、「30年後のビジョンを語り、三段銃のようにアイデアを発信し続けること。それがやがて行政や企業を動かす大きなうねりになる」と、力強いエールをいただきました。
くべりタイムの後は、参加者全員でお酒を酌み交わしながらの懇親会を開催。
小林氏から受け取った火種を胸に、グラスを傾けながら交わされた言葉は、まさに私たちの町を明るく照らす「薪」として素晴らしいお時間となりました。
今回のTAKIBEEで灯った熱を絶やさず、一歩ずつ、この町を歩きたくなる場所へと変えていく。そんな決意を新たにした一夜となりました。


今後もUDCOMT.は「TAKIBEE」をとおして、語り・気づき・関わり、人と街がつながる循環の場として、これからも継続していきます。
ご参加いただいた皆さま、ありがとうございました。
